|
広島県福山市新市町宮内に鎮座する吉備津神社は、大同元年（八〇六）に建立されたと伝えられています。『廷書ｮ』神名帳にはみられませんが、十二世紀のはじめころには「備後国一宮」と称され、地元では「いっきゅうさん」とよばれて親しまれています。
吉備津神社は、備後国の一宮として栄え、中世から近世にかけて、境内でおこなわれた座直り（宮座）は、備後国内の神蛯ﾌ集会というもので、吉備津神社が備後の神社および神蛉配の中核的な存在であったことがわかります。
現在でも吉備津講として、備後一円の崇敬をうけていますが、神社の所在する、宮内・連下・上安井・下安井・川下（ともに今の新市町）からは、直接神社の運営にたずさわる総代を選出しています。
その周辺地域である、新市・戸手（新市町）・服部・駅家（ともに今の福山）などは、大祭の案内をうける程度で、それ以外の地域は崇敬というように、地域によって神社に対するかかわりかたがことなります。
しかし、節分におこなわれる「ほら吹き神事」には、いっさいこのような区別はありません。
備後一円はもとより大阪や九州からも、祭りになると自主的に参加者が集まり、運営します。「ほら吹き神事」の参加資格については、定めたものはなく、だれでも自由に参加できるわけです。
また、「ほら吹き神事」は、別名「ほら吹き会（大会）」とか「一休さんのうそ話」「ほら吹き競い」などとよばれていますが、最近では「放談会」といっています。
|
