なんとも立派な外観ではないか。
温泉街を貫いて流れる音信川のほとり、位置的にも温泉街の中心に堂々と建つのは長門湯本温泉の顔、長門市営共同浴場『恩湯』(おんとう)である。
その中身、肝心かなめの浴室もまた期待を裏切らず素晴らしいものだ。
御影石造りだろうか、2つに仕切られた浴槽には39.2℃の源泉が加熱も加水もすることなく掛け流されている。
浴槽は深い。1m近くあるのではないか。2つの浴槽は同じ形で、湯の温度も同じである。
なんでも、かつて現在の男湯を男湯・女湯に分けていた時の名残りだそうで、ということは今の女湯は後から付け足されたものだろうか。
山口県内にはアルカリ性の温泉が多いが、こちらもその例に漏れずPH値9.59のアルカリ性単純泉である。
ぬるっとした肌触りに硫黄の匂い、個人的に好きなぬるめの湯はいつまでも浸かっていられそうな程気持ちがよい。
湯の使い方、湯の質、安価な料金と幅の広い営業時間、温泉地を代表するにふさわしい外観。
『恩湯』は私の考える共同浴場の理想に近いのである。
なお、『恩湯』脇の歩道を少し歩くと、もう1軒の市営共同浴場『礼湯』(れいとう)がある。
『恩湯』ほどのインパクトはないものの、こちらもなかなかお薦めの施設である。
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